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1970年(昭和45年)ドラフト会議 〜ドラフト概要〜


ヤクルト 広島 大洋 阪神 中日 読売 ドラフト概要
近鉄 ロッテ 阪急 西鉄 東映 南海 選択方法



この年の注目の選手は、佐伯和司(広陵)、島本講平(箕島)、湯口敏彦(岐阜短大付)の高校三羽ガラス。


●春の甲子園優勝投手・島本講平(箕島高)は南海1位
この年、箕島高のエースとして春と夏の二回甲子園へ出場。春のセンバツでは、左から繰り出す伸びのある速球を武器に、東海大相模を6−2、三重を4−1、広陵を3−0とくだし、決勝へ。

決勝戦は北陽と対戦し、延長12回、島本自ら打ったタイムリーヒットでサヨナラ勝ちし、優勝。投・打両方に高い才能をみせつけた島本講平は、前年(昭和44年)の太田幸司に続き甲子園のアイドルとなり、「2代目コーちゃん」とよばれた。

センバツ優勝投手となった島本講平は、夏の甲子園にも出場し、初戦を8−0で北見柏陽に勝利するが、2回戦で岐阜短大付・湯口の前に1−6で敗退。

ドラフト会議では一番くじを引いた南海が1位指名。「チームに人気がないから、島本で人気アップを狙う。来てくれるかな?」と、南海・野村克也監督談(昭和45年11月10日の朝日新聞より)

南海に入団後、野手転向。プロ1年目、オールスターのファン投票・一塁手部門で1位になり、2代目コーちゃん人気はとどまることをしらなかった。
1975年に近鉄へ移籍。通算成績は、828試合、454安打、60本塁打、打率.243。


●左の本格派・湯口敏彦(岐阜短大付高)は巨人へ
この年、岐阜短大付高のエースとして、春と夏の二回甲子園へ出場。

真価を発揮したのは夏の甲子園で、初戦の五所川原農林高を被安打3、奪三振15で完封シャットアウト。続く二回戦は優勝候補筆頭の島本講平(南海1位)を擁する箕島高を1失点に抑え、6−1で勝利。準々決勝は水谷啓昭(駒大〜新日鉄名古屋〜1978年中日3位)がエースの東邦高を被安打1で完封シャットアウトし、ベスト4進出。準決勝では連投の疲れからか、東海大相模高にサヨナラ負けし、あと一歩のところで優勝を逃した。

ドラフト会議では、二番くじを引いた巨人に1位指名され入団。「金田二世」と将来を期待されるも、2年間は二軍生活。ドラフト1位のプレッシャーや故障の苦しみなどから精神病を患い、1973年、逝去。
しかし、この「湯口事件」、当時は「自殺」が定説だったがどうも違うらしい。詳しくは↓の本を読んでほしい。(クリックすると本を購入できます)

巨人軍に葬られた男 巨 人軍に葬られた男

著者:織田淳太郎
出版社:風媒社
本体価格:1,600円

あるドラフト一位投手の栄光と死をめぐるミステリー。岐阜短大付属高時代、本格左腕として甲子園で活躍。巨人軍からドラフト1位指名を受けた湯口敏彦投手。輝かしい入団から3年、不可解な死を遂げた彼に、何が起きたのか?なぜ彼は、球史から消されねばならなかったのか…。


●佐伯和司(広陵高)は地元の広島1位
広陵高のエースとして、高校2年夏、3年春の二回甲子園へ出場。春のセンバツでは、富山商を完封(奪三振15)、千葉商を完封(奪三振12)し、ベスト4進出。準決勝の箕島戦は島本講平(南海1位)と投げ合い、0−3で敗れたが、右腕から繰り出される快速球は米大リーグからも注目された。

ドラフト会議では大洋と相思相愛と囁かれたが、大洋の指名順位は4番目で、その直前の広島が横取りする形で1位指名。プロでは入団3年目に19勝をマーク。通算成績は88勝100敗2セーブ。


●小さな大打者・若松勉(電電北海道)はヤクルト3位
北海高〜電電北海道。高校時代は高校3年夏の甲子園に出場。初戦で佐賀商に3−8で破れたものの、1試合4盗塁を決め、素質の片鱗を示した。

プロでは首位打者のタイトルを2回獲得(1972年、1977年)し、終身打率.319は日本人歴代1位。170センチに満たない身長ながら絶え間ない努力で一流選手になり、「小さな大打者」の異名をもつ。出身地・北海道での人気は絶大。


●その他、指名された主な選手は
投手では、最多勝2回(1981年、1984年)と最優秀防御率(1984年)のタイトルを獲得した今井雄太郎(阪急2位)、下手投げから通算107勝をマークし、現在は国会議員の三沢淳(中日3位)、1977年に勝率1位投手となった稲葉光雄(中日2位)、最多勝1回(1974年)と最優秀救援投手2回(1979年、1980年)のタイトルを獲得した金城基泰(広島5位)、通算72勝の谷村智博(阪神1位)、中継ぎや抑えで活躍した池内豊(南海4位)

野手では、通算232本塁打の柏原純一(南海8位)、通算224本塁打の杉浦享(ヤクルト10位)、代打の切り札として活躍した淡口憲治(巨人3位)、地味ながらイブシ銀の持ち味・石渡茂(近鉄2位)、通算677安打の渡辺進(ヤクルト4位)らが指名された。





1970年(昭和45年)ドラフト会議の結果

南海 (指名順位1番目)
1位 島本 講平 箕島高 投手
2位 矢部 徳美 オール常磐 内野手
3位 門田 純良 愛媛相互銀行 投手
4位 池内 豊 志度商高 投手
5位 阪田 隆 三菱重工神戸 外野手
6位 黒田 正宏 本田技研鈴鹿 捕手
7位 古川 治夫 川口工高 内野手
8位 柏原 純一 八代東高 外野手
9位 青木 倫一 新潟市立工高 投手
10位 瀬戸内 忠重 鹿児島鉄道局 投手
プロ入り後の成績

巨人 (指名順位2番目)
1位 湯口 敏彦 岐阜短大付高 投手
2位 大北 敏博 高松商高 投手
3位 淡口 憲治 三田学園高 外野手
4位 樋沢 良信 電電東北 内野手
5位 森下 敏秀 箕島高 内野手
6位 高橋 英二 仙台鉄道局 内野手
7位 魚 満芳 新湊高 捕手
プロ入り後の成績

広島 (指名順位3番目)
1位 佐伯 和司 広陵高 投手
2位 永本 裕章 盈進高 投手
3位 石井 高雄 柳川商高 外野手
4位 前田 三郎 下関商高 捕手
5位 金城 基泰 此花商高 投手
6位 荒金 雄司 別府商高 投手
7位 守岡 茂樹 岡山東商高 外野手
プロ入り後の成績

大洋 (指名順位4番目)
1位 野口 善男 法政大 内野手
2位 佐藤 守 本荘高 投手
3位 清水 透 河合楽器 内野手
4位 鵜沢 達雄 成東高 投手
5位 八木 勝彦 大宮高 投手
6位 榎本 直樹 中京大 投手
7位 芦岡 俊明 岩国工高 内野手
プロ入り後の成績 

東映 (指名順位5番目)
1位 杉田 久雄 中央大 投手
2位 井上 圭一 三菱自動車川崎 投手
3位 江俣 治夫 作新学院高 内野手
4位 船田 政雄 広島商高 外野手
5位 皆川 康夫 富士重工 投手
6位 日高 晶彦 広島商高 投手
7位 大沢 勉 日鉱日立 捕手
8位 佐々木 恭介 新日鉄広畑 内野手
プロ入り後の成績

阪神 (指名順位6番目)
1位 谷村 智博 鐘淵化学 投手
2位 末永 正昭 熊谷組 内野手
3位 楠本 秀雄 小西酒造 外野手
4位 船見 信幸 日本楽器 内野手
5位 才田 修 北陽高 内野手
6位 小川 清一 大分商高 投手
7位 上甲 秀男 電電四国 外野手
8位 太田 良章 中京高 内野手
9位 勝亦 治 静岡商高 捕手
プロ入り後の成績



近鉄 (指名順位7番目)
1位 市橋 秀彦 九州工高 投手
2位 石渡 茂 中央大 内野手
3位 中沢 春雄 本田技研 内野手
4位 窪田 欣也 丸善石油 外野手
5位 佐野 勝稔 河合楽器 内野手
6位 寺田 吉孝 筑紫工高 捕手
7位 高橋 幸広 岐阜短大付高 外野手
8位 小橋 英明 岡山東商高 内野手
9位 新井 鐘律 PL学園高 外野手
プロ入り後の成績

ロッテ (指名順位8番目)
1位 樋江井 忠臣 中京高 投手
2位 浜浦 徹 津久見高 投手
3位 中村 順二 東芝 投手
4位 加藤 邦彦 海津高 投手
5位 奥江 英幸 日本石油 投手
6位 田中 秀雄 東洋紡岩国 捕手
7位 中山 拓郎 滝川高 捕手
8位 石井喜左衛門 鐘淵化学 投手
9位 小野 徹 加世田高 投手
プロ入り後の成績

中日 (指名順位9番目)
1位 氏家 雅行 大府高 投手
2位 稲葉 光雄 日本軽金属 投手
3位 三沢 淳 江津工高 投手
4位 村上 義則 大倉工業 投手
5位 伊藤 泰憲 三重高 外野手
6位 堂上 照 電電北陸 投手
7位 盛田 嘉哉 本田技研 外野手
プロ入り後の成績

西鉄 (指名順位10番目)
1位 高橋 二三男 新日鉄広畑 外野手
2位 伊原 春植 芝浦工大 内野手
3位 豊倉 孝治 元日本軽金属 投手
4位 永田 哲也 加治木工高 投手
5位 米山 哲夫 東芝 内野手
6位 青木 政美 出水商高 投手
7位 小松 時男 河合楽器 外野手
8位 塩月 勝義 佐伯豊南高 投手
9位 菅 豊 佐伯豊南高 捕手
プロ入り後の成績 

阪急 (指名順位11番目)
1位 小松 建二 大昭和製紙 外野手
2位 今井 雄太郎 新潟鉄道管理局 投手
3位 小関 康雄 榛原高 投手
4位 細川 安雄 高松商高 捕手
5位 高須 正義 土浦日大高 内野手
6位 日高 兼一郎 宮崎本庄高 投手
7位 福間 納 松下電器 投手
8位 大西 忠 土浦日大高 外野手
9位 三宅 昇 西濃運輸 外野手
プロ入り後の成績

ヤクルト (指名順位12番目)
1位 山下 慶徳 河合楽器 外野手
2位 三橋 豊夫 日通浦和 投手
3位 若松 勉 電電北海道 外野手
4位 渡辺 進 銚子商高 内野手
5位 牧 重見 サッポロビ−ル 投手
6位 執行 重徳 飯塚商高 外野手
7位 植原 修平 日本石油 外野手
8位 会田 照夫 三協精機 投手
9位 野村 茂 PL学園高 捕手
10位 杉浦 亨 愛知高 投手
11位 成田 昇 元西濃運輸 投手
12位 倉持 明 横浜一商高 投手
13位 米田 潔 新田高 投手
14位 市場 博己 平安高 捕手
15位 高柳 信美 国士舘高 捕手
16位 大木 勝年 早稲田大 投手
プロ入り後の成績





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プロ野球の優勝チーム セ:巨人79勝47敗4引 パ:ロッテ80勝47敗3引
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春の甲子園優勝校 箕島(バッテリー:島本−中谷)
夏の甲子園優勝校 東海大相模(バッテリー:上原−若林)